♀ my prince ♂
「ぇ…けど…っ」
「嫌かなぁ…?」
困惑してどうしたらいいのか分からない私を見て玲央くんは悲しそうな顔をする。
「っ…」
私…玲央くんにこんな顔、させたくないよ…。
「……じゃ、じゃあ…座る…」
私は玲央くんの顔を見て断りきれなかった。
だから…彼の脚の上に素直に座る。
「何かめっちゃ近いね。てかさっきより近くない?」
「えっ…うん…そうかも…ッ」
余裕そうに話す玲央くんに対して…
私は、しどろもどろになってしまう。
何かこれ…すっごい恥ずかしい…。
だけど…
『ずっとこうしていたい…』
そう思ってしまうのは…何でなんだろう…?
そんなことが頭の中を駆け巡っていた。
そんな時―…、
ブーッ…ブー…ッ
制服のポケットに入れていた携帯のバイブが鳴る。
「あ…メールだ」
私はそう言って携帯を見た。
「…誰から?」
「夏凛ちゃんから。」
は…っ!!
「あっそうだ!部屋に来るんだった!」
「いいじゃん、別に。」
「ダメだよ!大事な友達なのにっ」
「…そっか。やっぱり優しいね、未亜ちゃんは」
玲央くんは微笑みながらそう言った。
「そ…そんなことないよ…普通だよっ」
私はそう言って玲央くんの脚の上から下りた。
「……じゃあね、玲央くん」
「うんっ」
玲央くんは何度目か分からない笑顔を私に向けた―。