♀ my prince ♂




「そっかー、よかった。俺…ほんとに何かしたのかと思っちゃったよ。」


顔は見てないけど…安心したような玲央くんの声が聞こえてきた。



「ううん……ほんとにごめんね…?」


私はそれに首を横に振る。



「いいよ、もう。謝んなくて。てか未亜ちゃん…どこか行くとこだったの?」



「あっと……お隣、さん…」



「隣り…?あぁ~…小嶋ねぇ~」



「うん…。玲央くん、は…?」


まだまだドキドキは続いてたけど…私は玲央くんの顔を見た。



「俺は…ちょっと休憩室まで行こうかなって。暇だったし」




へぇ~…。




「そうなんだ…」



「うん。てかさー、そいつに…“部屋行く”って言っちゃった?」


そう言いながら玲央くんは親指を夏凛ちゃんの部屋の方へと立てる。



「え…ううん。言ってないよ?」




ん…?何でそんなこと聞くんだろう…?




「じゃあ、さ…俺とちょっと話さない?」



「へ…っ!?」


玲央くんの発言に声が裏返りそうになるぐらい私は驚く。




玲央くんから誘ってくれたのは本当の本当に嬉しいんだけど…
でもそんなの…今よりもずーーっと、ドキドキしちゃうよ…。




「やっぱり…ダメかなぁ…?」



「っ…。」


だけど…そう言う玲央くんは何だか悲しい顔をしていた。




玲央くん…そんな顔なんてしないで…?
玲央くんには…笑顔が似合うんだから…。




「ううんっ…そんなことない…っ!!いいよ…?」


そんな玲央くんを見た私は気づくと思いっきり首を横に振って、そう言っていた。





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