♀ my prince ♂




ピ…ッ




「もしもし…」



『あっ未亜ちゃん?今どこにいるの?』


電話の向こうから聞こえた声は…
さっき会いに行こうとした夏凛ちゃん。



「えっ、と……外、かな?」



『“外かな”って何?(笑)もしかして…バルコニーだったりして』



「えぇ…っ!?な、何で分か…」




あっしまった…!!今の絶対、誘導尋問じゃんっ!!




『あははは…引っ掛かったね~?でも…ほんとにそこにいるの?』


夏凛ちゃんは一通り笑ったあと真剣な声で、そう聞いてきた。



「ぅ、うん…ッ」



『そっか。…里原くんでしょ?』




ドキン…ッ




「えっ…ど、どうして…?」


夏凛ちゃんの言った彼の名前に…私の心臓は大きく跳ね上がった。



『ん~…。女の勘…?っていうのは冗談で…さっきその辺、すごかったよ?』



「へ…?どうゆう意味…?」




夏凛ちゃんの言いたいことが全然っていうか…全く分からない…。




『あのね…?

 さっき休憩室の前通ったらさ…何か人が、いっぱいいてね…?
 ちょうど近くにいた女の子に“何かあったの?”って聞いてみたの。

 そしたらさ…“里原くんらしき人が誰かとバルコニーに入ってった”噂があるって
 その子に教えてもらって…“もしかしたら…”っと思って未亜ちゃんに電話したの』


私の心の声が聞こえたのか…夏凛ちゃんは私が分かるようにそう説明してくれた。



「ぇ…そうなの…っ!?でも何でそれだけで…私かもしれないって電話くれたの…?」


私はワンテンポ遅れて夏凛ちゃんに言葉を返す。



『ん~…勘かな?何かそんな気がした。』


電話の向こうで夏凛ちゃんが笑う。



「そっか…。でもありがとう、教えてくれて」



『ううん。じゃあ…気をつけてね?』



「うん。…バイバイ」



『バイバーイ』


そう言って電話を切った。





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