♀ my prince ♂




「うん!っていうか、さっき……王子様と喋ってたよね?」



「王子様…?」


私は夏凛ちゃんが誰のことを言っているのか分からず首を傾げる。



「うん。ほらー、こっちに座ってた」


夏凛ちゃんはそう言いながら私の隣の席を指差した。




「ん……?あっ、玲央くん?」



「そうそう」



「でも……何で王子様なの?」




玲央くんが王子様って…どう繋がる話なの?
確かに“笑顔”は王子様みたいだったけど…。




「あっ知らない?てか高校から来たんでしょ?」



「うん…」



「それじゃあ知らなくて当然かぁ。そしたら私が教えてあげるよ。
 ここにいた里原玲央ってね…超ーお金持ちなの!しかも学校一!!」



「えぇ~!!!そうなのっ!?!?」


夏凛ちゃんの発言に私はものすごく驚いた。



「そうなの!!!!てか未亜ちゃん、里原財閥って知ってたりする?」



「“里原財閥…?”聞いたことはある、ような…」




確か…日本で有数のお金持ちさん、だったような…。




「そっかそっか。その“里原財閥”の跡取り息子なんだよ、そこの王子!」


夏凛ちゃんは再び隣りの席を指差す。



「えぇっ!?嘘っ!?」



「嘘じゃないよ、ほんとー!それに頭がよくって運動神経バツグン。
 おまけに…あのルックスでしょ?だから王子様って呼ばれてるわけ」



「何かすごいね、玲央くんて…」



「それだけじゃないよっ!追っかけだっているんだから」



「えぇっ!?そうなのっ!?!?」


この夏凛ちゃんの発言に私は今日一ってぐらい驚いた。



「うん。それで、その追っかけの子たちは里原くんのこと…玲央様って呼んでるの」



「ふぇっ!?様付け…!?って……それすごいね…」



ごめんなさい、前言撤回。こっちの方が驚きました…。




『ただ者じゃないな』っていうオーラは感じ取ってたけど…
そんなにすごい人だったんだ…玲央くんって人は…。





< 5 / 203 >

この作品をシェア

pagetop