いつか見つけてね2


それからは美穂の家族写真を見たりして目線を部屋のあらゆるところに侍らせていた。

とても暖かく感じる壁に掛けられた写真館の写真は多分アメリカで撮られたもの。


あの頃にあった美穂の無邪気な笑顔に俺の魂が抜き取られた頃のものだった。

美穂の成長の過程が手に取るように見える。


俺もこの彼女の過ごした時間に一緒に入れたらって思いながら、案外俺はヤキモチなんだなって思う。


良い年してここまでなるほど一人の女性を思ったことがないから。




ノックする音と共に美穂がコーヒーを持って入ってきてくれた。



「お父さん、コーヒーですよ。


今日は私がいれたんだからね。


お母さんの味でなくて悪いけど。」


なんて少し不安げな顔をしてコーヒーを机に置く姿に先生が少し疑いの目を向けながら



「何?美穂が作ったのか?


飲まないだろう?






あっ、なるほどな。」


と言いながら美穂を見る目は子供の成長に少し戸惑っているみたいな過保護の父親そのものだ。


「うん。


光信がね、教えてくれたの。」


と俺のことを見る目に今までの緊張から解き放された俺は美穂が隣に座ると耳元で


「ありがとう。


愛してるよ。」


とつぶやくと真っ赤な顔をした美穂がいた。



「おいおい、こんなところで見せつけるなよ。


ま、その様子だとしばらく会えなくても大丈夫か。」



と先生も安心したみたいな顔をしていた。




その後一人残された奥さんが少しむくれながらケーキを持って入ってきたのでみんなで揃ってテーブルを囲んで談笑していた。
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