【完】クールな同級生と、秘密の婚約!?
「亜瑚……大丈夫?」
隣から躊躇いがちに掛けられた玲奈の声に、はっと我に返る。
「あぁ、大丈夫! えへへ」
瞬時に、取り繕った笑みを返す私。
玲奈に余計な心配はかけたくない。
すると玲奈がなにかを思い出したように、「あ」と声をあげた。
「ねぇ、そういえば亜瑚、今週週番じゃなかった?」
「あっ! そういえば!」
週番には、朝のSHRの前に、先生から生徒への返却物や出席簿を、職員室に取りに行く仕事がある。
週替わりで今週は私が当番だったのに、すっかり忘れていた。
「私も一緒に行こうか?」
優しい玲奈の言葉に、うっかり心が弱くなりそうになる。
玲奈には私たちが両想いになったことを伝えたから、多分、私が落ち込んでるのにも気づいてくれたんだ。
「ううん、大丈夫!
ありがと、玲奈。教えてくれて。
行ってくるね!」
「わかったわ」
私は肩にかけていたスクールバッグを急いで机に置き、駆け足で教室から離れた職員室へ向かった。
教室から──女の子達への嫉妬の気持ちから逃げたいという気持ちを抱えて。