たゆたえども沈まず

わざわざコンビニに寄ったんだから、誕生日なんだし甘いものを買ってくれば良かった。

話しているうちに、ショート寸前だった思考回路がちゃんとしてきた。

手を繋いでも添い寝をしても私達は私達のままだ。

返事がこなくて少し待っていると、耳を噛まれた。

「うん!?」

「美味そうだったから」

「はあ……?」

耳を押さえる。ちゅ、とその甲に口づけが落ちた。

酔ってるから? 酔ってるからこんなにベタベタしてくるの?

この毒牙に何人もの女が引っかかって堕ちてきたということか。

なら私は堕ちるものか!



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