たゆたえども沈まず
勘当されたってされなくたって、久喜はいつも通りなんだとも思う。
「温」
のどか、と呼ばれて振り向く。私のことを名前で呼ぶ人間は少ない。
そこには部長がいた。
「これ、忘れ物」
ポーンと投げられたのは箸箱。放送室に置いてきてしまったらしい。
「ありがとうございます」
「いーえ。背中が哀愁漂ってるからすぐに分かったよ」
「嬉しくない情報ですね」
そうかな、と軽く笑う部長。睡眠を置いて、ここまで来てくれたのかな。
「部長」
「なに?」
「本当にありがとうございます」
そう言うと、部長は少し照れたように肩を竦めた。