たゆたえども沈まず

あれからずっと会っていない久喜のことを今更聞いても仕方ないことなんだとは、分かっている。

でも、このモヤモヤした気持ちを抱えて、久喜のことを忘れるなんて出来ない。

久喜を忘れて生きていく、なんて言えない所まで久喜に執着している。

執着と恋がイコールになるのかどうかは分からないけれど。

「温、そこのコード持ってきて」

「はーい」

部長に言われて、コードを持った。
蘭子の後ろを歩いて、ポケットの中身をどうするか考える。

それなら、執着を捨てないと。



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