好きです。
出会い
着任式。
新たな先生の紹介。
私は後ろの方に座っていたし、聞くつもりはなかった。
でも……。

「木森です。よろしくおねがいします。」
私はもちろんテキトーにパチパチって拍手をする、はずだった。

「ねぇ、祐希乃。ほら。」
友だちの美羽が話しかけてきた。
「んー。なにー。」
美羽の指差す方向。それは少し前に紹介された木森という新任教諭だった。

「…………。」
声を失う感覚を初めて覚えた。
そう、それはなんとも言えないイケメンだった。

「でもダメダメ、私は久保田先輩が一番だから」
久保田先輩というのは、同じバドミントン部の先輩のこと。1年の頃から好きだった先輩だ。
そんなことを考えるうちに担任発表になっていた。
「2年1組、芝野先生。2年2組、木森先生。副任は…。」
私のクラスは芝野先生だけど、木森先生は見事に学年の先生だった。

「えー。次にバドミントン部、杉川先生。木森先生。鈴木先生です。」
そして、まさかのバドミントン部の顧問。偶然の連続で久保田先輩を忘れるくらいだった。
嬉しさでいっぱいだった。

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