小児病棟
「なんか寒いな……戻ろうか……」

北川さんは、自分の両肩をさわり、少し震えた。

「うん……そうだね」

北川さんは車椅子をターンさせ、通路へ戻ろうとした。途中、少し坂になっていて車椅子の車輪が引っかかった。正哉は、自然と手が出て車椅子を持ち、押していた。

「サンキュ……」

正哉は、そのまま第八病棟の入口まで車椅子を押した。


北川さんは車椅子を正哉のほうにむけると

「正哉、また遊びに来いよ!」

とほほえんだ。

「うん、わかった」

「じゃあな」

北川さんは車椅子をこいで第八病棟へと戻っていった。
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