小児病棟
四人は、来た道を引き返していった。図書室の横を通り、手術室を右に見ながら歩くと、最初に探検を始めた外来へと戻ってきた。


「これで探検も終わりかな……」

悟がつぶやいた。その表情は若干憂いでいて、悟の淋しさを物語っていた。心なしか肩も落ち気味のような気もした。そんな悟を見ていると、正哉は少しだけ可哀そうになった。確かに霊安室はいただけないが、もともと悟の提案だったこの探検、思えば自分は、常に悟にはむかってきたような気がした。まあ、悟が怖いほう怖いほうへと行きたがったのは事実だが……

「悟?」

正哉は、悟に話しかけた。
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