自由と首輪
それから初めて参加したライブは期待通りの楽しさで
私は疲労感と共にこれまで味わったことの無い満足感を覚えていた。

ボーカル、リュウさんの言われたとおりに跳んで、手を挙げて、頭を振って……。

後半はもはや体力の限界を感じていたけれど、それでも容赦なく煽られることがどうしてかとても心地よかった。

そして、

「おい、お前ら、楽しいか? 嫌なこと俺が忘れさせてやるからもっと暴れろ」

リュウさんの煽り文句は家に帰ってからもずっと忘れられなかった。

こうしてすっかりLotusに魅了されてしまった私は、彼らが関西でライブやイベントをするときには決まって参加するようになり、そのたびにライブの感想を書いたファンレターをリュウさんに渡すようになった。

どこにでもあるアーティストとファンの関係。私はそれ以上を望むことなんてなかったし、望むつもりもなかった。

その関係が変わったのは大学二年生の夏。Lotusを知ってから一年がたった頃だった。
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