ラブレター2
「よっ。」

いつもの場所で、いつものキス。

「本気になるなよ。」

さぁ。なんて、笑いながら、あいは、僕の隣りに座ってる。

「彼氏を、大切にしな?」

今のままが、一番、良い関係だ。と、思っていた。

「…………。」

いつものベンチに座り、下を向いたあいを、笑わせてあげたい。と思うのは、愛してる。ではない。

好きな人。だから。

「じゃーさ、何で、彼氏とエッチしたの?」

妬きもちも、あるけれど。

「その時は、好きだったから。」

「今は?」

「…分からない。」

キスをしている時は、幸せ。と思うのに、どうして、話しをすると、不安になるんだろう。

少しの間だけ、鈴虫が鳴いていた。

「ねぇ。」

突然、あいが話し出す。

「何?」

「何で…キスしたの?」

静かな公園に、あいの声が、少しだけ響いた。

「好きだから…じゃない?」

好きだから。とは、言えず、疑問系で投げ掛けてしまうのは、やはり、不安だったから。

「うん。」

きっと、僕は、ズルイ。

「お互い、カレカノいるじゃん。お前が、フリーなら、キスはしていないよ。」

軽い気持ちで、キスをした訳でも無いけれど。

「きっと、それに、答えきれないからね。」

僕だって、男なんだから、関係を持っていない好きな人には、良い人。に思われたくて、笑わせてあげる。

あいにだって、誰にだって、そう。

でも、愛してしまったら、きっと、幻滅される。

知っているから。

「…………。」

何も言わないあいにもだけど、少し昔の『トラウマ』を考えると、苛立ちを隠せなかった。

「だから、本気になるなよ。帰ろう?」

あいの頭を、一度だけ撫でて、立ち上がり、あいの手を引いた。

「ほら、帰るぞ。」

下を向いたまま、微動だにしないあいの前に立った。

「今から、魔法を使うから。」

繋いだ手を握り変え、右手が、あいの頬に触れる。

「目を三秒だけ閉じたら、立ち上がれる魔法を。」

そんな、魔法。

「はい、目を閉じて。」

そんな時だけ、素直なあいは、目を閉じた。

三秒間で、僕にできる魔法。

君に、キスをすること。

「ほら。帰ろう?」

無器用な二人へ、恋の魔法を。
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