ラブレター2
「行ってくればいいじゃん。」

「うん。」

笑って話す僕に対し、罰が悪そうな顔をするあい。

「なになに?彼氏だし、妬かないよ?」

彼女と遠距離中の彼氏が、帰って来る。と言う。

うん。としか答えないあいは、何を考えてるのかな?

見慣れた景色の中にある砂場の上を、コンビニ袋が駆けて行く。

「でも、エッチしたら妬くよ。」

付き合っているのだから、本気半分、冗談半分で言う。

一度、頷いただけだが、何故かあいが可哀想に思えた。

「キスまでは、許してやる。」

どうにかして、あいの笑顔を見たい。

「あのさ、そんなことで、俺は、お前を嫌いにならないよ?」

精一杯の言葉を言えた。

本当は、嫌だよ。寂しいよ。

でも、僕には、それを言う資格は無い。

だって、『彼氏』の肩書きを持っていないから。

「うん。」

でもね、君に好かれてるんだ。って絶対の自信があった。

だから、精一杯の強がりを言えた。と思う。

「彼氏なんだし、大事にしてあげなね?先輩も楽しみにしてるって。」

僕の右手が、あいの頭を撫でて、彼女の右肩へ休息を求める。

「そんなに後味悪い顔するのなら、俺との関係を終わりにしようか?」

分かってほしいが、これが僕の甘え方。

一番悪い甘え方だ。と知っている。

「嫌。」

そう言ってくれるって知っている。

「ゴ、ゴメン。違う!!ゴメンね。俺も不安でワザと言ったんだよ…。」

突然の、彼女の涙。

でもね、それを見て『嬉しい』の感情が出てくるほど、僕は子供なんだ。

それでも、君の涙を見たくなくて、愛しくて、一度彼女の肩から離れた手を背中に回して、抱き締めた。

「泣かないで。」

彼女が、少しだけ強く握り返したのが分かり、僕も強く握り返した。

「く、苦しいよ。」

あいが笑うから、僕も笑えた。

彼女の彼氏は、僕の先輩。

だけど、罪の意識より、あいを思う気持ちが、強くなっていた。

あいが彼と会う日、一人でいたくなくて、僕も彼女と時間を共にした。

あいと昨日も同じ場所で会ったのに、直接、話を聞きたかった。

「どうだった?」

「普通だよ。」

話しを聞くと、先輩の車でドライブをしたりしたらしい。

「エッチした?」

「しないよ。」

「キスは?」

聞く順番が逆だと思ったが、エッチをしていないのなら、何でも許す(妬かない)と、決めていた。
< 41 / 100 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop