殺戮都市
包丁を床に落とし、端末を弄って再び光の渦を出したチンピラ……鬼頭竜二。


だけど、今度はアナウンスもなく、引き抜かれた物はメリケンサックだったのだ。


俺や明美さんがそれを持っても、大して意味をなさないだろうけど、こんな人が持っていたら恐怖でしかない。


「くそっ!!もう一回だ!こんなもん金になるかよ!」


そう言って再びガチャをしようとするけど、渦が現れる事はなかった。


最初にもらったソウルは10個。


ガチャは一回でソウルを5個使うから、二回までは出来る。


その二回で、鬼頭竜二は欲しい物が引けなかったんだな。












「……おいガキ!その刀をよこせよ!俺がこんなゴミみてえなモンで、納得出来るかよ!」











突然向けられた、殺意に満ちた目。


自分が良い武器を引けたらこんな事はしなかったのか、それとも俺が日本刀を引いた時からこうするつもりだったのかは分からない。


だけど、鬼頭竜二は僕に歩み寄り、強引に日本刀を奪い取ると、満足そうな表情を浮かべたのだ。


「へへっ、悪く思うなよ?俺の前でこんな良いモン手に入れたお前が……って、はぁ!?」


どういうわけか、奪われた日本刀はいつの間にか俺の手の中にあって、鬼頭竜二の手からは消えていた。
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