殺戮都市
それから、僅かな時が流れた。


怪物の血を浴びて、全身が真っ赤に染まった俺は、怪物達の死骸の中に立っていた。


俺が移動した約100メートル。


その道を埋め尽くす死骸の数が、俺の成長を教えてくれる。


容易に倒せるようになったとは言え、これだけの数を相手にするとさすがに疲れるな。


やっと見え始めた光の壁の切れ目。


この様子だと、葉山から恵梨香さんを奪還出来れば、すぐにでもバベルの塔に行けるかもしれないな。


塔を守っている怪物がこの程度の強さなんだから、俺一人でだって辿り着く事が出来そうだ。


だけど、その為には早く恵梨香さんを助けないと。


想像以上に簡単に怪物を倒す事が出来て調子に乗っていたけど、何も全滅させる必要なんてないんだ。


俺の目的は、東軍に行く事なんだから。


道を塞ぐ怪物達に向かって走り、襲って来る怪物だけを相手にして光の壁の切れ目を目指す。


もはや怪物は障害ではない。


降り掛かる火の粉……本当にその程度にしか思えなくて、それらを振り払いながら辿り着いた光の壁の切れ目。


東軍に入って、前回通ったルートを走っていた俺は……不思議な怪物を目にした。
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