殺戮都市
大きな通りが交差するその真ん中。


50人ほどが取り囲んでいる、随分前からあるような手作りのステージ。


あり合わせの材料で、誰かが作ったのだろう。


「何があるんだろうね。ゲリラライブか何かかな?」


「いや、流石にそれはないんじゃないですか?でも、気になりますよね」


この集まった人達の興奮に当てられて、俺の気分まで高まって来る。


一体何が始まるのかという期待に胸を踊らせて。


そして、人が集まったのを見計らったのか、一人の男が笑顔で手を振りながらステージに上がったのだ。


その瞬間、集まった人達から歓声が上がる。


「なになに!?あの人有名人!?」


耳を抑えて、それでも楽しそうにこの空気に酔いしれる明美さん。


だけど……俺はその人物を知っている。


それを知っていたから、明美さんのように楽しそうにははしゃげなかった。











「皆さん、長らくお待たせしました!戦闘ばかりで疲れた皆さんの心を癒すショーの始まりです!」












歓声に応えるように、大声で叫んだその男は……。


東軍の男を連れ去った、あのガタイの良い男だったのだ。
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