フシギな片想い


「ゴメン」


もう一度、玲央さんは謝った。


「その、さっきの好きっていうのは、家族としての意味なのかな?」


どもりながら、そう訊ねる。


私は首を横に振った。


「●●塾のCクラスの中瀬美雨、覚えてる?たくさん生徒がいたし、私がいたのも、玲央先生がいたのも夏休みの間だけだったし、覚えてるワケないよね?」


玲央さんは当時のことを思い出したのか、驚いて口を開いた。


「玲央先生は女子の人気者だったから、私もみんなと同じように憧れてたんだ。初恋って言ったら聞こえがいいかもしれないけれど、私の中での玲央先生は、周りの男子と比べるとどっか特別で、それがこんな形で再会して、いけないって思ってたのに、やっぱり玲央さんに惹かれてる私がいて」


私が話す度に玲央さんの表情は曇っていく。


告白することで玲央さんを傷つけるつもりはないのに。


「美雨ちゃんの気持ちに気付かずに、大人げなく浮かれてて、ゴメン・・・何て言ったらいいのか・・・」


「本当はずっと黙ってるつもりだった。玲央さんを混乱させるようなことをしてごめんなさい。でも、私、今の気持ちを伝えないと、玲央さんへのこの気持ちに踏ん切りがつかないって思ったから」


ママのことが好きだって答えてくればいい。


思い切り振られて、少し泣いたら、玲央さんへの気持ちにやっと諦めがつくと思うから。



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