フシギな片想い
同居、やっぱり好きかも?


これから同居することになった児玉兄弟の面々との初顔合わせが終了した日から、私はママを出来る限り無視した。


春休みに入って、進路が決まった友人たちと遊んで、その友人たちの家を転々と巡ってお泊りした。


私とママの根競べはママに軍配が上がった。


家出から一週間。


着替えを取りに、ママが仕事であろう時間にこっそり家に帰った時の事だった。


玄関がやけにすっきりしてるなぁと思った所ではっとした。


棚の上の花瓶やキーケースがない!収納を開けると靴が一足もない!


慌てて、自分の部屋に駆け込むと積み重なった段ボールが置いてあるだけで、ベッドも勉強机もタンスも家具が1つも見当たらなかった。


やられたっ!


ママに反抗したつもりが、家に帰らなかったのは、逆に引っ越しを円滑に進める手助けをしただけだった。


・・・せめて部屋に閉じこもれば良かった。


家は購入してるから、今更反抗したってどうにもならないとは解っているのだれど、せめて、「結婚反対!」とアピールしたかった。


けれど、考えが浅はかなのは私の方だった。


溜息を吐きながら、リビングへと続く扉を開いた。


「やっと、帰って来たわね。家出少女」


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