フシギな片想い


駅前で芽衣子と待ち合わせをした。


そういえば、芽衣子と私服で会うのも初めてだ。


フリルやリボンのついたガーリーな洋服は、芽衣子によく似合っていた。制服とはまた違った印象になる。


「かわいい服だね」と褒めると、


「でしょでしょ?見て、ブラウスのボタン、ハートになってるの~」と胸元を指さしてニコニコしていた。


テスト期間中のストレスを発散するために、ケーキを食べて、カラオケに行った。


辺りがすっかり夕焼け色に染まると、時間を確認して、そろそろ玲央さんが帰って来る頃だと、家に向かった。


お泊りセットの入ったゴロゴロ(キャリーバッグ)を引きながら、家路へと向かう。


大きなタコのすべり台がある公園を曲がって、コンビニを通り過ぎると、もうすぐ家が見えてくる。


「ここなんだ」


門扉を開き、ゴロゴロを抱えて階段を上る。


芽衣子はキョロキョロしながら、「上が玄関?」と指を差して、私の後をついてくる。


「下が車庫になってるんだぁ、へえ~」

「うわぁ~、壁の色がオシャレ、何色っていうの?」

「かわいい~壁にお花模様のタイルが埋め込まれてるんだね~」


芽衣子は家に興味津々のようで、入る前からテンションがマックスだ。玄関の前に芽衣子の荷物を降ろし、ちょこまかと動く芽衣子を眺めていた。



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