鎖恋-僕たちクズですー
「由香里さん。おはよう」

マネージャーは私を笑顔で迎えてくれた。

「ス・・・スミマセン・・」私は深々と頭を下げる。

「テメー・・」マネージャーは怒りを抑えていたんだ。

私の首元をグッと掴み壁に押し付けた。

「く・・・苦しいっ・・」首筋の脈がドクンドクン・・私の体内に響く。

「ス・・・スミマセン・・」私はもう一度謝っているが

マネージャーはその手をしばらく離さなかった。

「やる気あんのか・・?ないのか・・?ねぇ・・・オバサン・・」

マネジャーの殺気に満ちた声に

「やります」

私はそう降伏するしかなかった。

「今・・今だけ・・」そう決めていた。

女子ロッカーでは時々そんな台詞を耳にしていた。

みんな「今だけ」に全力なんだ。

目標が達成したらさっさと去る。

そんな世界なんだ。

「私も・・・」

幸い、顔や首にはいっさい傷などはない。

あざ一つ残さずこうして女の子を脅すマネージャー。

「クソっ」心の中ではいつもそう思うようになった。

でも・・・どこかで誰かにすがりたい私。

「ゆうに早く会いたい・・・」仕事中もゆうがチラつく。

「帰ればゆうが待っているという安心感」

1割の心地よさが私を救い・・奮い立たせていた。

< 26 / 39 >

この作品をシェア

pagetop