恋の神様はどこにいる?

「あなたには話しただけ。お願いはちゃんと神様に聞いてもらいますから」

「なあ、何の努力もしないで神頼み? おまえってバカだね」

「バ、バカって……。あなた何様のつもり? さっきから聞いてりゃ、アホだのバカだの。人を馬鹿にするのいい加減にしてくれる!!」

「まあまあ、落ち着けって」

これが落ち着いてられるかっていうの!! 

そりゃね、整ったマスクと甘い声にホイホイついて来て、自分の恥ずかしい話を全部喋ってしまった私も悪いと思う。思うけれど、あの時はこんな人だとは思ってなかったから。『悩みごとがあるなら僕に話してみない?』なんて頭を撫でながら言われたら、私じゃなくても落ちるでしょ?

ああぁぁぁ、ムカつく。

怒りは頂点を突き抜けて、天に向かってまっしぐら。鼻息が荒くなってしまう。

「バカって言ったの取り消してよ」

「はあ? なんで? バカにバカって言って、何が悪いんだよ」

「悪いでしょ!! 私はバカじゃないんから」

「おまえ、頭も悪いのな。これだから、何度も振られるんだよ」

「振られるのも、あなたには関係ない!! ていうか、ひとのことあんたあんたって呼ばないでくれる? 私には真野小町っていう、ちゃんとした名前があるんだから!!」

「ふ~ん、真野小町ねぇ……。じゃあ小町」

なんなんだ、こいつは? いきなり名前呼ぶ? 普通は真野さんとか、名前を呼ぶにしても小町さんとか小町ちゃんとかじゃない?



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