恋の神様はどこにいる?

そして私を倉庫の壁に押しつけると、顔をグッと近づける。

「なあ、どうしてほしい?」

「な、何よいきなり。どうしてほしい、って言われても……」

「言わなきゃ、俺のしたいようにするけど。いい?」

今までに見たことない優艶な微笑みで、耳元で囁く志貴。

そんなことを言われたら、だんだん思考がおかしくなって恥ずかしいことを口走ってしまいそうになってしまう。

「あの、その……キ、キス……」

私がそこまで言うと、志貴がゆっくり私の顔に手を伸ばし……。

ホントにキスされる!? と思ったら、おでこを激しい衝撃が襲った。

「ばーか!!」

なんで、ここでデコピン? 

どう反応したらいいのかわからなくて壁にもたれたまま呆然と立っていたら、薄く開いていた唇に志貴の唇が重なった。

それはチュッと啄むだけのキス。この前みたいな濃厚さはないけれど、今の私の心を満たすには十分なものだったみたいで、ボーッと志貴の顔を見つめてしまう。

「小町。その顔、反則」

「はん、そく?」

「おまえ、俺も男だってこと忘れてるだろ? ったく、俺以外のやつにそんな顔見せたら罰じゃ済ませねーからな。いいか、覚えとけよ」

志貴が男? そんなこと、あたりまえじゃない。忘れるはずないでしょ? それにそんな顔って、どんな顔だって言うの? ちゃんと説明してほしいものだわね。



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