恋の神様はどこにいる?

志貴って、こんな顔もするんだ───


でもそれはどうして? 

その理由を知りたくて、運転席に乗り込む志貴をじっと見つめてしまう。

「なんだよ?」

「ごめん、なんでもない」

「バーカ」

頭をクシャッと撫でられて、胸が早鐘のように躍り始める。

そんなことされると志貴も私のことが好きなんじゃないかって、勘違いしてしまいそう。

キュンとする胸は時々ズキンと痛みを放ち、私の気持ちを弄ぶ。

「行くぞ」

「うん」

早く痛みを感じなくなればいいんだけれど……。

でもそれは志貴と両思い、すなわち恋人にならないと無理なわけで。まだ当分、痛みを感じることがありそうな……。

でも今はこの時間を楽しむことを考えて。美味しいラーメンに胸を馳せると、自然と笑みが漏れた。



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