恋の神様はどこにいる?
☆雨と化粧と黒髪と

昨晩は早く寝てしまったからか、神社に行くのは午後からだというのに早起きをしてしまう。なぜだか目覚めもよく、普段ならありえないほど身体も軽い。

久しぶりに、ぐっすり眠ったという感じだ。

ベッドから降り部屋のカーテンを開けると、外は生憎の雨。

「やっと梅雨らしくなってきたか」

梅雨入りしてからというもの、雨らしい雨は降っていなくて。ニュースの中で『水不足』なんて言葉もちらほら耳にしていたから、恵みの雨なんだろうけれど。

神社まで歩いて通おうと思っていたから、雨はご遠慮願いたい。

なんて、自然相手に無理なことを考えたりして。

「お腹空いた」

昨晩志貴に奢ってもらってお腹いっぱい食べたというのに、朝になればやっぱりお腹は空くもので。

キッチン脇の棚に行くと、菓子パンを手に取った。

今朝は、大好物のメロンパン。そしてメロンパンの時の飲み物は、必ず牛乳と決めている。

コップになみなみ牛乳を注ぐと、椅子に座り手を合わせた。

「いただきまーす」

こうして、私の一日がスタートする。

あまり行儀がいいことではないけれど、左手にメロンパン、右手には情報雑誌。それを読みながらパンを頬張っていると、隣の部屋からメール着信を知らせる音が聞こえた。

「こんな朝早く、誰からだろ」

雑誌をテーブルに置くと、メロンパンは手にしたまま隣の部屋に移動する。そしてテレビボードに追いてあったスマートフォンを手に取ると、メールを確認した。



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