恋の神様はどこにいる?
☆傷ついた心

巫女になって二週間が経った。

まだまだ仕事ではわからないことも多いけれど、志貴がいなくても何とかひとりで動けるまでにはなってきていた。

初めて体験する仕事ばかり。休みの日もまちまちで大変には変わりないけれど、よく参拝にみえる方に声を掛けられて嬉しくなったり。お宮参りで初着に身を包んだ赤ちゃんを目にすると、ほっこり癒やされたり。

喜びも多いことを、身体で実感している。

「小町さん、今週の土曜日は仕事入ってる?」

「はい、たぶん。何かあるんですか?」

和歌ちゃんにそう聞かれて問い返せば、クスクスッと笑って私に身体を寄せた。

「神前挙式があるの。小町さん、まだ見たことないでしょ?」

「はい。テレビとかでは見たことあるけど、実際にはまだ」

「巫女はいろいろ仕事があって舞いも奉奏するんだけど、たぶん私と小町さんの二人舞になるんじゃないかな」

「えぇ!!」

そんな話、全然聞いてないし。それに二人舞を奉奏するなら、五鈴さんと和歌ちゃんじゃないの?

「何そんなに驚いてるの? 小町さんももう立派な巫女でしょ? それに今回は……」

「和歌ちゃん、ちょっと社務所までいいかな? ちょっと和歌ちゃん借りるけど、ここ小町ちゃんひとりで大丈夫だよね?」

千里さんが慌てた様子でやって来て、和歌ちゃんとの話が中断する。

「あ、はい。大丈夫です」

ふたりが社務所に消えると、さっきの和歌ちゃんの話を思い出す。



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