恋の神様はどこにいる?

「浦安の舞を奉奏するって言ってたよね?」

志貴に初めて教わった舞い。丁寧に一から教えてくれたことは、今でも忘れない。タイプは違うけれど踊ることは好きだったからか、思っていたよりも早く覚えることができて、志貴に褒められたっけ。

だから浦安の舞が、一番好きなんだけど。

「まさか、志貴と五鈴さんの挙式で舞うことになるなんて」

天井を見上げると、悔しさを堪えるように唇を噛む。

まさか私の初舞いが、志貴を祝うためなんて……。

お祝いなのに、当日私はふたりを祝福するように舞えるんだろうか?

なんて、こんなこと思ってちゃ駄目だよね。

新人と言っても、私は華咲神社の巫女。神事において、神楽や舞いを奉仕する女性。

今私に出来る最高の舞いを舞うことが、志貴への最初で最後のプレゼント。

「志貴の最高の笑顔を見るために」

志貴の笑顔を思い出しながらゆっくり目を瞑ると、そのまま深い眠りについた。




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