恋の神様はどこにいる?

でも志貴がそんなにテレ屋さんだったとは、実に意外で。

「そっかぁ、図星だったんだ。志貴、私と一緒で楽しかったんだぁ」

と、ちょっとからかいたくなってしまった。

「お、おまえなぁ。ったく、調子に乗ってると、後で痛い目見るぞ」

そんな怖いことを言われても平気なのは、ホントの志貴は優しい人だということを知っているから。

「もう何年も前に私に落ちてたのに、どうして『一ヶ月で俺を落としてみろ』なんて言ったの?」

「なんだよ、また質問か? 今日のおまえは質問してばっかだな。あれはだな……」

志貴はそう言うと、私を頭からスッポリと抱きかかえた。

これじゃあ顔が上げられなくて、志貴の顔を見ることができない。志貴の腕の中でもがいてみても、それは緩むことがなくて。

「暴れるな、おとなしくしてろ。俺はおまえに、四年近く片思いしてたんだぞ。やっとのことで声を掛けておまえに近づけたのに、告白して振られたら立ち直れないだろ。だから一ヶ月で、おまえが俺のことを好きになるようにだな……って、なんで俺がこんなこと話さなきゃいけないんだ。お終いお終い」

志貴はそこで勝手に話を終えると、私の身体を強く抱きしめる。

「志貴、痛いって!!」

「話してやったんだ。それくらい我慢しろよ」

「話してやったって、何よ偉そうに。そんなこと言う人には、こうしてやる!!」

志貴の脇腹に手を入れると、こちょこちょとくすぐった。

「おい、止めろ!! 小町、マジで勘弁してくれ!!」

「勘弁してあげないんだから」

ヒィヒィ言いいながら笑っている志貴を見て、私も一緒に笑う。

朝っぱらからこんな風に、ふたりでじゃれ合っているなんて……。

昨日の朝の私が見たら、さぞ驚くことだろう。



< 253 / 254 >

この作品をシェア

pagetop