恋の神様はどこにいる?

ここに座っていたのは約四時間。そんな長い時間正座なんて、ここ何年かしたことがない。

いつもダラッと足を投げ出し、ソファーにもたれてテレビを見ている。ちっとも女の子らしくない格好だ。

ちょっと反省。

しばらくすると足の痺れも取れてきて少し動けるようになった私は、膝立ちをするとお守りが並んでいる箱を見た。

やはり縁結びの神社として有名なだけあって、それ関係のお守りがかなり減っている。

「千里さん、ここ補充しましょうか?」

「ああ、それね。そういうことは朝やることにしてるから大丈夫。そんなことより、今日はいきなり仕事させてしまって悪かったね」

そう言いながらも千里さんは、まだいろいろと片付けをしている。

「あ、いえ。あまりお役に立てなくて……」

「何言ってるの!! 僕と和歌ちゃんだけじゃ、絶対に手が回らなかったからね。本当に助かったよ」

千里さんの隣で、和歌さんもうんうんと頷いていた。

普段は建設事務所で事務員として働いている私。仕事内容は至って普通で、出金伝票や入金伝票の打ち込みやタイムカードの処理。時々来る来客の接待やお茶くみ。

毎日代わり映えのしない職場では、誰に褒められることも喜ばれることもなく。ただ淡々と時間だけが過ぎていく。
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