恋の神様はどこにいる?

そりゃね、志貴に手を握られて “志貴のそばにいたい” とか “この手を離したくないな” とか思ったりもしたよ。でもまだ彼のことを好きになったわけじゃないし。

志貴のことを一ヶ月で落としてみせるって言ったけど、誰も彼のことを好きになるとは言っていないわけで。

なんだか自分が何を考えているのか、わからなくなってしまった。

でも、ただひとつだけわかることといえば……。

「お腹すいた」

さっきからキュルキュル鳴っている腹の音だけが、私が今何を考えているのかを教えてくれる。

恥ずかしいけれど、これは生理現象というやつで。

ベッドから出ると、部屋の隅にある鏡の前に立った。

「だよね」

着ていた服はよれよれ髪はボサボサ、化粧も落とさずに寝てしまったからひどい顔だ。でも今更どうしようもないし、志貴の前でカッコつけても仕方ない。

服のヨレを直し手櫛で髪を簡単に整えシュシュでひとつにまとめると、志貴の待つ部屋へと急いだ。



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