扉の向こうのパラダイス
サトルさんとは、駅前で握手をして別れた。


そっと差し出された大きな手のひら。

自然に握手を交わした。

交わしながら、サトルさんの目を見つめる。

メガネの向こうにある瞳が優しい。

本当にこの人はゲイなのだろうか。

そんな話は一切しなかった。

音楽のこと、映画のこと、普段読む本のことから仕事のことまで、いろいろなことを話した。

博識なサトルさんの会話はとても面白い。
また、聞き上手でもあるから、話していてとても心地がいい。

またすぐに会う予感がした。

言葉では表現できない「何か」がお互いの間に生まれた。

きっとそれを「インスピレーション」と呼ぶのだろう。
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