愛情の鎖

その日は何事もなく1日が過ぎていき、夜ベッドに入ると後から来たコウさんが何の迷いなく私を背後から抱き締めた。


「あったけーなぁ」


そんな嘆きに思わず顔が緩んでしまう。


「ふっ、私こう見えて昔から体温だけは温かいんだ」


でもやっぱりドキドキする。このシチュエーションは。
コウさんは平然と手慣れた感じだけど、私は慣れるどころか緊張が増していく。

だってやっぱり好きな人だし。コウさんは温かいし、何だか妙に落ち着かないっていうか…


「コウさんは冷え性ですか?」

「あ?さあな、あんま考えたことはねぇけど」


だからそんなどうでもいいことを口走ってしまう。

心臓がバクバクだ。さっきからコウさんにばれないように必死で落ち着かせてるけど、きっとバレてるんだろうなぁ。

コウさんは以前、私をまだ抱かないとは言ったけど、所詮は男と女。
もしかして今日は…なんて、いやらしい予想をしてしまう私はどうかしてるんだろうか?
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