愛情の鎖

きっとコウさんは仕事柄そんな人達を沢山見てきたんだろうな。
だから彼の言葉にはズシッとした重みみたいなのがある。

思わず納得しちゃうのも頷ける。


「私は…贅沢なんて望まないの。高級な洋服や食事だっていらない。ましてや権力なんて……、ただ大好きな人達と昔みたいにまた笑いあって暮らしたい、それだけなの。お金も最低限生活できるだけあればいいっていうか…」

「……」


なのにそれが何より難しい。

普通の生活がこんなにいとおしいものなんて初めて知った。
世の中はこんなにも住みやすく、物が沢山溢れてるのにね。

手を伸ばせば簡単に入りそうなものが今はすごく遠くに感じてしまう。どうしても切なく思えて仕方がないないのだ。


「なんだか生きていくって難しいですね」

「ずいぶん重いテーマになってきたな。まぁ…、でも色々考えたとこでなるようにしかならねぇし、強いて言うならお前は今のままでいればいいんじゃね?」

「えっ?」

「お前が今のまま変わらなければきっと上手くいく。俺が自由にしてやるよ。だからそのまま自分の思った通りに突き進んでみれば?」
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