愛情の鎖

「これ、くれるの?」

「ああ、どうせ暇だろ?今からぱぱっとやっちゃおーぜ」

「え?今から?」


コウさんと?此処で?

私は少し考えて、うんと頷いた。


「別にいいけど……でも、どうやって?」


見ての通り、私とコウさんの間には胸元ぐらいの高さの仕切り用の柵があるのだ。

それでもやろうと思えばできなくもないと思うけど…

……でも、柵を挟んでお互い別々でやってる光景を想像すると、ちょっと間抜けで笑ってしまうのは私だけ?


「んなもん、柵を飛び越えて一緒にやればいいだろう」

「へっ、柵を……?」


飛び越える?まじで?

コウさんのサラッといっセリフにちょっとばかし驚いてしまう。


「こんなもんその気になれば簡単にまたげるだろう」

「……」


……まぁ、そうだね。私の身長は160センチ。確かに彼の言う通りだ。本気を出せばよじ登れなくもないけど…

でも、いいの、かなぁ?


「不法侵入……とか?」

「アホか。本人が言いっていってんだから不法侵入もなにもないだろう」

「あはは……」


だよねぇ…

私は自分のバカな考えをブンブンと振り払う。
そしてコウさんの「来いよ」と言って差し出してくれた好意の手にそっと自分の手を重ねると、勢いよく目の前の柵によじ登った。


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