下町退魔師の日常
それから店にやって来たのは、今時珍しい瓶底みたいなメガネをかけた学生。
「おはよ、タカシくん。これからバイト?」
「はい・・・」
タカシくんはやたらとかしかまりながら、俯き加減に頷いた。
ぱっと見、放っておくと一日中パソコンにかじりついているんじゃないかと思ってしまうような、ネクラなタイプ。
浪人生で、親からの僅かな仕送りと居酒屋のアルバイトで生活している。
いつも俯き加減で、会話も「はい」とか「いいえ」をボソボソっと答えるだけだから、そんなタカシくんを見ていると、ちょこっとだけからかいたくなる。
「来てるよ、ノリカちゃん」
ウインクしながら言うと、タカシくんはあからさまに真っ赤になって。
「そっ・・・そうですか」
とだけ呟くと、そそくさと男湯の方へ行った。
うん、絶対に初恋よね、これ。
全く微笑ましい。
いや、恋してるのが羨ましいよ。
そんな1番客の若い二人が帰った後も、銭湯【松の湯】には次々とお客さんがやって来る。
「おねーちゃん、こんばんわー!」
夕食も終わりの時間帯、元気に挨拶をしながらやって来たのは、耳の上の方で2つに縛ったオマゲがぴょんぴょん可愛く揺れているエリナちゃんだ。
その後ろから、大きなお腹を抱えたエリナちゃんのお母さんが入って来る。
エリナちゃんの弟か妹が、もうすぐ生まれるんだそうだ。
あたしより少しだけ年上なのだが、やっぱり二人目ともなると、お母さんとしての威厳と言うか・・・貫禄が感じられる。
「今日もお世話になります」
おっとりとした口調で、エリナちゃんのママは言った。
あたしは笑顔を返す。
「お疲れ様です、もう少しかかるんでしたっけ? お風呂のリフォーム」
築40年以上の自宅のお風呂をリフォームしているのだそうだ。
「えぇ、あと一週間ほど。でもエリナが、新しいお風呂が出来てもまたここでお風呂に入りたいって」
「だぁってエリナ、おねーちゃんと遊びたいんだもん!」
オマゲをぴょんぴょん揺らしながら、エリナちゃんは言った。
「おはよ、タカシくん。これからバイト?」
「はい・・・」
タカシくんはやたらとかしかまりながら、俯き加減に頷いた。
ぱっと見、放っておくと一日中パソコンにかじりついているんじゃないかと思ってしまうような、ネクラなタイプ。
浪人生で、親からの僅かな仕送りと居酒屋のアルバイトで生活している。
いつも俯き加減で、会話も「はい」とか「いいえ」をボソボソっと答えるだけだから、そんなタカシくんを見ていると、ちょこっとだけからかいたくなる。
「来てるよ、ノリカちゃん」
ウインクしながら言うと、タカシくんはあからさまに真っ赤になって。
「そっ・・・そうですか」
とだけ呟くと、そそくさと男湯の方へ行った。
うん、絶対に初恋よね、これ。
全く微笑ましい。
いや、恋してるのが羨ましいよ。
そんな1番客の若い二人が帰った後も、銭湯【松の湯】には次々とお客さんがやって来る。
「おねーちゃん、こんばんわー!」
夕食も終わりの時間帯、元気に挨拶をしながらやって来たのは、耳の上の方で2つに縛ったオマゲがぴょんぴょん可愛く揺れているエリナちゃんだ。
その後ろから、大きなお腹を抱えたエリナちゃんのお母さんが入って来る。
エリナちゃんの弟か妹が、もうすぐ生まれるんだそうだ。
あたしより少しだけ年上なのだが、やっぱり二人目ともなると、お母さんとしての威厳と言うか・・・貫禄が感じられる。
「今日もお世話になります」
おっとりとした口調で、エリナちゃんのママは言った。
あたしは笑顔を返す。
「お疲れ様です、もう少しかかるんでしたっけ? お風呂のリフォーム」
築40年以上の自宅のお風呂をリフォームしているのだそうだ。
「えぇ、あと一週間ほど。でもエリナが、新しいお風呂が出来てもまたここでお風呂に入りたいって」
「だぁってエリナ、おねーちゃんと遊びたいんだもん!」
オマゲをぴょんぴょん揺らしながら、エリナちゃんは言った。