ジグソーパズル
私はうつむいたまま、亜蓮に引きずられるようにレジに連れて行かれる。


レジのお姉さんはチラチラっと亜蓮を見ているけど、亜蓮は全く気づいてない。


こんだけかっこいいのに、自覚してない亜蓮がたまに嫌になる。


私はその光景を見たくなく、入り口のほうを向く。


それと同時に男の子がコンビ二ドアを開けて入ってくる手前で目が合う。


え??


私も男の子も固まり沈黙が流れる。


男の子はドアを限界まで開けて、近くの錘で固定した。


それでもコンビニには入ってこようとせずに、ジッと私を見つめる。


私もジッと見つめる。


すると、男の子が静かな声で言った。


「あおっち??」


確認するように。でも嬉しそうに、人懐っこい笑顔を見せる。


私は男の子の言葉を聞いた瞬間、亜蓮の手を離してその男の子に駆け寄る。


「え?アオ??」



そんな動揺したような亜蓮の声が聞こえたが、私はなりふり構わず駆け寄る。



コンビニを出てすぐのところで、男の子も悪戯っ子みたいな笑顔を見せて両手を広げているので私は思いっきり抱きつく。


「うおっ!!」


頭上から少し驚いたような声が聞こえるが、私は知らんぷりして男の子の胸に顔を押し付けたまま名前を呼ぶ。


「夏生(カイ)!!」











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