妄想世界に屁理屈を。

由美の天下はもう終わり。

少女漫画にSF漫画が屁理屈を唱えなくちゃ。



「絶対に、黒庵さんの隣はアカネじゃなきゃいけないんだ。

皆がそれを望んでる。

向こうからみたら俺らは平穏な生活を壊す悪者だけど、それでも黒庵さんを救わなきゃ。

じゃなきゃ、可哀想だ。

黒庵さんだってアカネに会いたいだろうに――」


「正論じゃ人間」


苑雛くんをぎゅうって抱き締めている鸞さんが、どこか燐とした瞳で語る。


「嘘の上に成り立つ幸せなぞ、所詮は偽善じゃ。悪者でも、バッドエンドでも、真実を貫き通さねば」


くっ、と妖しく悪者じみた笑いをした。


「…わらわは――否、わらわたちは鳳凰なのじゃから」


誓うように呟いた。

まるで悪魔だ、とでも言っているような言い方に、ぞくりとする。



「……そう、ですね」

「じゃろ!?」



驪さんがそれに答えた。

嬉しそうに笑う鸞に、いつも通り微笑むお父さん。


「…?」


なんだろう。

気のせいかな。


どこか、無理してるように見えたのは――
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