妄想世界に屁理屈を。



「言ったろう、彼らは生きていてはいけない。もともとは最高神の座には白龍が───永龍がつくはずなのだ。永遠に」


全く動じることなく、満足そうに言う。

「ちがう!あの子達は彼女の意思をついだ、彼女が命をかけて作った最高神の子です!」


泣きながら、嗚咽に喉を震わせながら。
そして何かに気づいたようにハッとして。

「お前、まさか……こうなることを見越して、殺しやすくするために……!?」

「なっ」

合体をすることを見越して、龍をだしたのか。

試験だのなんだのは嘘、目的は鳳凰を殺すこと……?


「その通りだ、4羽もうっとおしいのがチョロチョロしていてはかなわんからな」


「許さないっっ」


胸ぐらを掴んだまま片手で水を出す。そのまま鋭利な形にして、赤龍を狙おうとして。


突如、驪さんが飛び跳ねた。


何かに蹴られたようである、一定の方向に曲がりながら空高く跳ねていく。


「れ、驪さん!!」

何が起こったのかまたしても分からなくなりながらさけんだ。

だれかが赤龍を助けた?


血のように赤い髪色の、筋骨隆々とした男が驪さんのいた場所に立っていた。


「素晴らしいタイミングだ」
「けっ」

鼻で赤龍をあしらった男は、驪さんの元へむかう。


そして勢いよく拳をにぎり、顔面を殴った。


殴る、殴る殴る殴る。


狂ったかのように暴行を加えていく。


「やっ、やめ」
声が震えて上手く話せない。どうすればいいのかわからなくて、涙が零れていく。


なに、なんなの?なんで、なんでこうなったの?

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