妄想世界に屁理屈を。


“あーあー…”


はあ、とアカネがため息をつく。

“なにが『柚邑くんは頼りになる』だ。あの子柚邑を何と間違えてんだ?”

「百瀬の悪口はやめろ〜」

もうどうしたらいいかわからないから、とりあえず突っ込んだ。


「そーいや、すっかり忘れてたけど苑雛くんは?」


「苑雛さまは御自宅へ返してきた。一応子供だし、夜更かしはよくないから」


「苑雛くんの家…!」


“や!嫌だよ!”


なぜかアカネが全否定してきた。


「…アカネさま」

“苑雛はいいけど、鸞が嫌なんだよ”

「苑雛くんの主…だっけ?」

お嫁さんと流れるようにいっていたから記憶に深い。

“苦手なんだよ、アイツ…”

ち、と舌打ちが聞こえてきた。

仕方ない、苑雛くんの家は諦めよう。


「あ!いいところがありますよ、アカネさま!」


ポンッとスズが柏手を打つ。

“あ?いいところ?”

「はい!せっかく霊力の器もあるんですし…」

“あー…いいかも”

「じゃあ決定ですね!」

きゃあっ!とスズがはしゃきだす。


「いいところ?」


よくわからないが。

「暖かいところですよね、アカネさま!」

そうスズが言ったので、大丈夫だろう。
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