この空の下で
告白
 最近、背中に指で刺されたような痛みを感じる。しかし、その痛みを感じるたびに、熱いものに変わっていることを感じた。なぜであろうか。

 最近、僕を見て、ひそひそと話しているのをよく見かける。不愉快だ。二年に上がるなり、こんな生活が続くのは嫌だ。何か悪いことをしたわけでもない。何が悪いのであろうか。

 最近、僕の噂を耳にする。好きでもない人を勝手に好きだと決めつけたり、変な噂ばかりが流れている。まったく迷惑なものである。噂をもみ消すだけで、一年が終わりそうだ。なんだか引きこもりになりそうであった。


 中学二年になると、部活では三年生も引退し、僕らの代に代わった。先輩と言われるようになり、少し照れる。こんな生活を送って、この生活に憧れていた自分を思い出し、さらに照れる。

 こんな生活が一生続けばいいと思った。ただ一つを除いては。


「古葉、どうした」

 水神は最近よく話すようになった女子だ。男っぽくて、かなり接しやすい。話していても楽しいし、第一、気を使わなくていい。付き合っていくうちに、自然に彼女の魅力に惹かれていく。

「いや、ちょっと、ボーっとしてただけだよ」

「なんだ。お前、目開けながら寝てたのかと思った」

「はは」

 自習の時間。これほど暇なことはない。確かに楽でいいのだが、何もしないのは疲れる。しかし、勉強もしたくないし、今は寝る気分はしないし。どうしたことだろうか。

 何か退屈しのぎになるものはないかと教室中を見回してみると、何もない。寝ているもの、まじめに勉強するもの、小さい声で話しているもの。初めから期待はしていなかったものの、かなりへこむ。

 しかしその暇も、水神によってなくなることになった。

「なぁ、古葉。何か暇だ。話題を作れ」

「なんだそりゃ。お前も作れよ」

「じゃあ…」

 そのあと、一つの話題で話を三十分続けた。よくそんなに話せたものだ、と自分のことをほめてしまう。しかし、自分なんかよりも、水神が大部分を話していた。

 そしてチャイムが鳴ると、僕は彼女から離れた。水神の横を通る時、僕は横目で彼女を見たが、彼女の顔はなんだか寂しそうであった。僕を見ずに、女の子のように、シャーペンをいじっていた。話していた時は、あんなに楽しそうであったのに。
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