君ともう一度~入れ替わってから知った気持ち~

「以上を持ちまして、アンサンブルコンテストを終了いたします」


私達の演奏のDVDをもらい、舞台を後にする。

ロビーに行くと、部員全員が集まっていて、私を温かく迎え入れてくれた。


金賞はとれたんだけど、県大会に進める代表には選ばれなかった。

それは他の2つのグループも同じだったんだけど。

…やっぱり悔しい。


でも、それが今の私達の実力ってことだよね。

どんなに悔やんでも結果は変わらないんだから、金賞がとれたことを心の底から喜んだほうがいい。

代表は来年に任せた!



外に出るともう真っ暗で、星がいくつか瞬いていた。

身を切るような寒さに震えながら、バスに乗り込もうとしていたとき。


「こな!」


後ろからそんな声が聞こえた。

振り向くと、翔磨が手を振りながら、こっちに走ってきていた。


“もう帰ったんだ。話せなかったなぁ。”

と、勝手に思っていたから、急な登場に慌てる。

目が赤く腫れてないか心配になって下を向いたけど、舞台上で泣き顔を見られたことを思い出し、諦めて前を向いた。



「金賞おめでとう。…こな、すっごくかっこよかったよ!」


少し照れたように、でも私の目を見て、しっかりと言ってくれた翔磨のこの言葉を、私は絶対に忘れないと思う。


本当に本当に

「……ありがとう!」


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