君ともう一度~入れ替わってから知った気持ち~

8時からは花火が始まる。
今年はゆっくり見れないなぁ…。

なんて思っていたら。


“ぎゅっ”


一瞬、何が起こったのかわからなかった。
いや、わかったけど信じられなかった。


だって、翔磨に抱きしめられていたんだから。


「っ…翔、磨?」

「……あ、ごめん…」

そう言って、私から体を離した翔磨。


なんで謝るの?
なんで抱きしめたの?
…なんでそんな悲しそうな顔してるの?


謝るんなら、こんなことしないでよ。
期待持たせるような、自惚れさせるようなこと、しないでよ…。


「な、んで…」

「…ごめん、こな」

「…謝らないで。もういい。……最低っ!」


そう言い捨て、私は走り出した。


ドキドキして、もしかしたら…なんて考えていた自分がバカみたい。

なんで、諦められなくするの……。


モヤモヤ、イライラ、ドキドキ。

私の心の中は、いろんな感情が渦巻いていた。


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