森に抱かれて
「この人ね、私の編物の師匠なの」
中里が向かいに座る女性を指して言う。
「師匠だなんて、嫌ね」
「あら、本当じゃない。カルチャーセンターで教えたりしてたのよ」
「そうなんですか」
「ええ。まあね。それで、久しぶりに中里さんに会って、作品見せて貰ったら、とってもいい色のセーター着てたから、聞いて、草木染めって言うもんだから」
「ここに連れて来たの」
「ありがとうございます。ゆっくりされて行って下さいね」