森に抱かれて

「そうだな」

「じゃ、着替えここに置いとくから、しんちゃんに渡してあげてね」

「ああ」

「じゃ、安心したし、この様子じゃ暫く起きそうもないし、俺たち帰るな」

「ああ」

「しんちゃん、また来るね」

と、美咲がベッドを覗き込んで智子の顔を見ると、ふいに智子が身体を動かす。

「あ、謙太郎っ!」

「ん?」

要を見送ろうと戸口に立っていた謙太郎がベッドの方を振り返る。

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