何故だろう。
毎日不安で仕方ない。1人きりで涙が止らない。
カチカチと進む時計の音だけがやたらに耳につく。

この25年間、何1つ不自由なく暮らしてきたけれど。
むしろ裕福な生活を送ってきたけれど。
そんなものは必要なかった。
ずっと私が欲しかったものは、「愛情」

両親からも愛されていると思った事は一度も無い。
心を許せる友人を作るのも下手くそだった。

いつもいつも私の中には深い深い霧がかかっている。
この霧はいつまで続くのか・・・
もがいて苦しんで、このまま終わるのか・・・



ベットの中でそこまで考え、勢いよく飛び起きた。枕もとの時計を見ると
時刻は3時を少し回ったところ。
・・・いましかない・・・

全てを捨てよう。
名前も、立場も、名誉も、プライドも、親も、自分自身さえも。
新しい場所で1から始めよう。
この霧を自らの手で消し去ろう。
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