あの丘の上で【上】
「ここでのことも、思い出して欲しいのだけれど。でも、それが雪菜ちゃんの負担になるなら、思い出さなくてもいいの。」
「私…私には失った記憶があるんですね。」
「でも、いくら消されても、あなたの深いところがおぼえていてくれた。私はそれが嬉しいわ。」
その言葉が私には嬉しくて。
「あら、どうしたのかしら。…本当、可愛い妹ですこと。」
私よりも少し背の高い沙羅さん。
その肩口に頭をおいて、その背中に腕を回した。
私はうまく感情を表現できないみたいだ。