ずっと、親友だよ。
はじまり
「梨香ー起きなさいよ。優芽ちゃんもう来てるよ」
お母さんの声が聞こえるような…
まあいっか。寝ちゃえー…
「りーかー!」
バサッ
「うわーん寒いよー」
布団を取られて震える私。
「いいかげん起きなさい!優芽ちゃん玄関に待たせてるよ」
「ふぁーい」
優芽(ユメ)とは、私の一番仲のいい友達、いわゆる親友。
毎朝迎えにくる。
「まったく…優芽ちゃんはいつも迎えに来てくれていい子なのに」
お母さんは私をみてため息をつく。
まるで、私とは正反対とでも言いたそうな顔でみてくる。
私は優芽が嫌いだ。
小さい頃からいつも一緒にいたけど、優芽はかわいいし優しいから、女の子にも男の子にも好かれていた。
それに比べて、私はバカだし、運動もできなくて取り柄がない。
正反対な優芽と私。
もちろん、優芽が好かれるほうで、私は目立たない。
そんな優芽と一緒にいることが、今まで苦痛でならなかった。
< 1 / 30 >