こちら元町診療所
隣の相手は座ってるのに、立ち上がった私とさほど視線が変わらないのは私と20センチはあるだろう身長差のせい



『……今日その格好で来たの?』


格好……?


自分が着ている何とも普通な格好を一通り見てみる


「そうですけど?」


『………』


突然先生が黙り込んだので、エプロンを畳み終えると心配になり少しだけ俯いた顔を覗く


と同時に聞こえた盛大な溜め息


『はぁ……後で聞くからいいや。それよりお腹空いたから食べさせて?』


ドクン


今のところ一番発言して欲しくなかった台詞に彼から視線を思いっきり反らす



「……これ食べるんですか?」


『うん』


「あの…やめた方がいいかもしれませんよ?」


『何で?』


何でと言われても、理由なんて一つしかない。私が作ったからですよ!!


それに本人がまだ味見もしてないのに不味かったらやだ……


それに



『食べさせろ』



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