ママと呼ばれたい ~素敵上司の悲しすぎる過去~
そして定時を少し過ぎた頃、まず新藤さんが上がり、ほんのちょっとの時間差をつけて私も会社を出た。


「店は僕に任せてもらっていいかな?」

「はい、もちろんです」


広い通りに出ると、新藤さんはスッと腕を上げて空車のタクシーを停めた。その動作は卒なく自然で、とっても様になっていた。そしてタクシーに乗り込み、運転手さんに新藤さんが伝えた行き先は、なんと都心近くのとある高級ホテルだった。

たぶんホテル内のレストランを予約してあるのだと思う。ひょっとして、お部屋の予約もしてあったりして……なんてね。


「そこにはよく行くんですか?」

「よくではないよ。前に何度か行った程度さ。中にレストランとバーがあってね、移動の手間が要らないんだ」

「あ、そうなんですね……」


しばらくしてそのホテルへ着いた。私達は高速のエレベーターで40数階まで一気に上がり、見るからにシックでエレガントな雰囲気が漂うレストランへと入って行った。


ボーイさんの案内で4人掛けのテーブルに向かい合わせに座ると、私は思わず溜め息をついた。なぜなら、三方に見渡せる外の夜景があまりに素晴らしかったから。中でも、ライトアップしたスカイツリーが素晴らしい。


「なかなかの眺めだろ?」

「はい。とっても素敵です……」


私は、早くもうっとりした気分になっていた。

< 143 / 197 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop